プレス PRESS

京都新聞 (2017年1月21日朝刊)『進取果敢!! 3 ― 京都の工芸クロニクル ―』の記事で当社が紹介されました。

京都新聞(2017年1月21日朝刊)「高蒔絵の立体感 現代に息づく」

2017.01.25

 龍村美術織物と川島織物は、京都の織物業界で独創的なアイデアと刷新的な技術を誇る屈指の老舗メーカーです。両者が織りなす西陣織の豪華絢爛(けんらん)な帯を手にすることは、世の奥様方の憧れともいえるでしょう。

 初代龍村平藏(1876~1962)と二代川島甚兵衞(1853~1910)は明治半ば、織による表現世界を独自に作り上げ、ともに織物業者として不動の地位を築きました。龍村は主に革製品や漆工品をモチーフに織物の表面の立体化を実現したのに対し、川島は画家が描いた絵画をそのまま織で精密に再現することに努めました。色染めされた経(たて)糸と緯(よこ)糸のみで模様を織り出す技法では、両者は新しい試みと努力によって前人未到の織りの表現に至りました。

 とりわけ、龍村は明治初期にもたらされた、精巧に織り上げるリヨン製のジャカード機を駆使して数々のデザインを制作しました。しかし、あるとき龍村は、手織りの綴(つづれ)織を制作する川島と織物の芸術的価値をめぐって議論します。機械か手織りか。龍村は機械での織りを芸術にまで高める図案の良しあしを最重要視し、西陣初の試みとして、デッサン力や絵画表現力を習得した京都市立美術工芸学校や京都高等工芸学校の卒業生を積極的に採用したのです。そのなかの1人に、後に著名な日本画家となる堂本印象(1891~1975)もいました。

 龍村のコンセプトが最もよく発揮されたのが「国宝日暮文蒔絵(まきえ)錦」。印象が描いた原画をもとに織り上げられた錦です。漆器に高蒔絵で施された桜閣山水のモチーフを図案化し、工芸品の質感を織りでどう表現するかという点に主眼をおいています。このような初代の製作姿勢は現代にも受け継がれ、独創的なデザインが生み出されています。当代の四代龍村は斬新な発想で「ぎやまん錦」や「切り子錦」などガラス工芸の光沢ある質感や立体感を表現し、織物業界をリードしています。このように、織物に高度で精巧な芸術的要素が見いだされる背景には、伝統的な織物業者による限りない可能性の追求とともに、永続的な試行錯誤と切磋琢磨(せっさたくま)があったといえます。

(府立堂本印象美術館主任学芸員)

Back to Press list

Information

株式会社 龍村美術織物
〒604-8101 京都市中京区柳馬場通御池下ル
柳八幡町65番地 京都朝日ビル2階

龍村 TATSUMURA

オンラインショップOnlineShop

美術織物から生まれたバッグ、茶道具、雑貨など、さまざまなアイテムをご紹介しています。
龍村美術織物が長きにわたり培ってきた、美と技の結晶をお楽しみください。