「最高之品質」（揮毫 初代龍村平藏）

明治維新以来、日本人の服装は和装から洋装へと急速に変化し、現在では和装はごく限られた人々の趣味・嗜みとなっている。呉服（和）の世界で発祥した龍村美術織物が、これからの世の中でその存在を輝かせ続けるためには．．．

－ 龍村育代表取締役社長に、新たな時代に向けたビジョンを伺った。

「弊社の経営方針、または社是ともいうべきものに、初代龍村平藏が唱えた『最高之品質』というものがあります」

－ ここで言う「品質」とは本来世間一般で使われている、物の外観・サイズが尺度基準を満たしているかという事だけではないと、育社長は言う。「品（美しさ）質（豊かさ）」という人間の理想・憧れなど内面の満足度をも内包する言葉なのだ。

初代龍村平藏

「弊社は自社の美術織物を通して、お客様に最高の『品（美しさ）質（豊かさ）』を感じて頂き、生活をより豊かなものにして頂く一助となるのが使命（ミッション）だと思っています」

－ では、この移ろいゆく時代の中で、最高の「品（美しさ）質（豊かさ）」を世の人々に提供するためには？

育社長が常に掲げる言葉がある、それは、「和の躍動、和の解放」。

「永らくパターン化され凝り固まっていた「和」のデザイン・技法を必要に応じて現代社会に適したものに変化（躍動）させること。そして、それを日本国内のみならず世界中へ発信（解放）すること」

－ 自らのやり方を深慮し、時代に柔軟に寄り添う。さらに外の世界へと豊かな視野を広げる。『最高之品質』に対する揺るぎない精神と、お客様を心より思い遣る繊細な理念。
創業より１２５年余り。その原資となる叡智は十分に蓄えられているはずだ。龍村美術織物の新たな境地を見守っていきたい。

龍村育代表取締役社長